静岡県浜松市で犬のブリーダーをしている、ペットのブリーダーワンブーの山下です。当犬舎では、2008年の創業からフレンチブルドッグの繁殖を続けています。
フレンチブルドッグの子犬をお渡しするとき、必ずお願いしていることが2つあります。1つは、迎えてから1〜2週間は「何もしない」こと。もう1つは、段差の昇り降りを絶対にさせないことです。
どちらも、かわいがりたい気持ちとは逆に見えるかもしれません。ですが、どちらもその子の将来を守るためのお願いです。この記事では、迎える準備から1歳までの育て方を、当犬舎のやり方でお伝えします。
フレンチブルドッグの子犬を迎える前に準備しておくこと
準備品の一覧は、別の記事で詳しくまとめています。ここでは、ワンブーが特にお願いしていることだけを書きます。

トイレはケージの中だけに置く
トイレは、ケージの中に置きます。部屋には、別のトイレを置きません。
部屋にもトイレがあると、子犬は「ケージの外がトイレの場所」と覚えます。そうなると、ケージの中ではしなくなってしまいます。
フードはブリーダーと同じ物をそろえる
ワンブーでは、引退犬も含めてすべての犬にアカナを与えています。子犬は、パピーレシピです。お家でも、同じフードを用意してください。
迎えたばかりの子犬は、環境の変化だけで精一杯です。フードまで変わると、体への負担が重なります。

室温は20度を切らないように
フレンチブルドッグは、暑さに弱い犬種として知られています。ですが、寒さにも強くはありません。特に子犬は、寒さにとても弱いです。
室温は、人間が暑くも寒くもなく快適に過ごせる温度にしてください。子犬のうちは、20度を切らないぐらいでお願いしています。浜松の冬は、朝晩の冷え込みが意外と厳しいです。
迎えてから1〜2週間は「何もしない」
子犬を迎えたら、まずケージの中で完全に安静にしてもらいます。ワンブーで一番大切にしているお願いです。
ワクチンの回数で安静の期間が変わる
ワンブーのお引き渡しは、最短で生後60日です。お渡しの時点で受けているワクチンの回数で、安静にする期間を決めています。
| お引き渡し時のワクチン | 安静にする期間 |
|---|---|
| 1回接種済み | 2週間 |
| 2回接種済み | 1週間 |
この間、子犬はケージの中で過ごします。部屋に出して遊ばせることはしません。
「構いすぎない」ではなく「構わない」
安静の期間は、声をかけない、触らない、見に行かない。この3つを守ってもらいます。食事とトイレの片付けも、声をかけずに淡々と済ませてください。
ドッグトレーナーの動画でも、迎えて1週間は「構いすぎない」ようすすめられています。家族でルールを決めて、触る時間を決めるという方法です。
ワンブーの考え方は、もう一歩踏み込んでいます。構う時間を減らすのではなく、構わないのです。この期間は、子犬が自分の力で新しい環境に慣れる時間です。そして、私たちは「何もしないしつけの時間」だと考えています。
鳴くたびに見に行けば、子犬は「鳴けば人が来る」と覚えます。誰も来なければ、自分で落ち着く方法を見つけていきます。
我慢するのは飼い主さんの方
フレンチブルドッグは、人が大好きな犬種です。子犬が鳴けば、すぐに抱き上げたくなるでしょう。
ですが、ここで我慢するのは子犬ではありません。飼い主さんです。今かわいそうに見えるかどうかではなく、1年後にどんな子になっているかを考えてください。

フレンチブルドッグの子犬の食事は1日3回
食事で気をつけてほしいのは、回数と与える場所です。量は、フードの給与量の目安と体型を見て調整してください。
ドライのまま1日3回、6か月を過ぎたら2回でも
お引き渡しの時点で、子犬はアカナのパピーレシピをドライのまま食べています。ふやかしは不要です。回数は、1日3回です。
生後6か月を過ぎたら、1日2回にしてもかまいません。ただし、回数が多いのは悪いことではありませんが、少ないのは悪いことです。減らすのを急ぐ必要はありません。
フードはケージの中で与える
フードは、ケージの中で与えます。食事をする場所になると、子犬にとってケージは良い場所になります。
病気や手術で入院すると、犬はケージで過ごします。ケージに慣れている子は、そのときのストレスが少なくて済みます。
食欲旺盛でも、フード以外は足さない
フレンチブルドッグは、食べることが大好きな犬種です。フレンチブルドッグ専門のブリーダーの動画でも、「あげればあげた分だけ食べる」と話されていました。
だからといって、おやつや人の食べ物を足すのはやめてください。バランスの取れたフードに他の物を足すと、そのバランスが崩れます。パピーレシピは1歳ごろまでが目安で、その後はアダルトドッグレシピに切り替えます。
月齢ごとの体重の目安は、こちらの記事でまとめています。


トイレとケージの教え方
トイレは、安静の期間が終わってから本格的に教えます。基本は、ケージの中のトイレでさせることです。
留守番や就寝のときは、ケージに入れます。ケージの中でトイレができたら、号令と合わせて教えてください。トイレは、号令と褒めることをセットで教える数少ないしつけです。
お家のトイレでできるようになると、散歩中に道ばたでさせずに済みます。犬が苦手な人への配慮にもなります。
お散歩デビューの時期
お散歩は、3回目のワクチン接種から1週間経ってからが目安です。ワクチンのスケジュールは、動物病院と相談してください。
デビュー前に、抱っこで外に慣らす必要はありません。お家の中で、先にやることがたくさんあります。トイレ、ハウス、呼び戻し、お手入れ。外の刺激がない時期の方が、子犬は人に集中できます。
フレンチブルドッグの散歩の考え方は、こちらの記事に書いています。

段差とソファの昇り降りは絶対にさせない
ここは、フレンチブルドッグの子犬を育てるうえで、必ず守ってほしいことです。ワンブーでは、段差の昇り降りを厳禁にしています。
背骨に生まれつきの弱さを持つ子が多い
フレンチブルドッグは、背骨(脊椎)に生まれつきの障害を持っている子が、かなりの確率でいます。これは、長年この犬種を繁殖してきた私の実感です。
海外の研究でも、症状のない子の78.9〜100%に背骨の形の異常が見つかっています。形に異常があっても、すぐに症状が出るとは限りません。だからこそ、普段から負担をかけないことが大切になります。
ソファは「降りるとき」が危ない
ソファやベッドには、登らせないでください。登れば、必ず降ります。この降りるときの衝撃が、背骨と足腰に大きな負担になります。
「低いソファなら大丈夫」と思うかもしれません。ですが、体の小さい子犬にとっては、その高さでも十分な段差です。一度登ることを覚えると、毎日何度も繰り返すようになります。最初から登らせないのが一番です。
階段は飼い主さんが抱っこする
階段は、必ず飼い主さんが抱っこして昇り降りしてください。玄関の上がり框(かまち)のような段差も同じです。
子犬のうちは軽いので、抱っこも苦になりません。成犬になると10kgを超える子も多いですが、そのときも同じです。子犬のうちから「段差は抱っこ」を家族全員のルールにしておいてください。

早い子は1歳ごろに症状が出る
背骨のトラブルは、早いと1歳ぐらいで症状が出ます。痛がる、歩き方がおかしい、後ろ足に力が入らない。こうした様子があれば、すぐに動物病院で診てもらってください。
薬と安静で、症状が落ち着くことは多いです。ですが、根本的な問題がなくなったわけではありません。定期的に症状が出るようになることもあります。最悪の場合は、命に関わることもあります。
神経の病気で受診した343頭を調べた別の研究もあります。最も多かったのは椎間板ヘルニアで、全体の45.5%でした。背骨を守ることは、この犬種と暮らすうえで避けて通れません。
予防は「させない」と「鍛える」の2つ
予防方法は、2つです。段差の昇り降りをさせないこと。そして、しっかり運動させて筋肉をつけることです。
スポーツ選手が、筋肉で関節や背骨を守っているのと同じです。段差を避けるからといって、運動まで控えてしまっては逆効果です。お散歩デビューのあとは、体に合った運動で筋肉を育ててください。
暑さ・寒さと体のこと
フレンチブルドッグの子犬は、体温の調整が得意ではありません。季節ごとの温度管理は、飼い主さんの役目です。
夏の暑さは命に関わる
フレンチブルドッグは鼻が短く、暑さにとても弱い犬種です。浜松の夏は、室内でもエアコンが欠かせません。息が荒い、ぐったりしているといった様子があれば、迷わず動物病院に連絡してください。
暑さ対策と、熱中症になったときの対応はこちらでまとめています。

冬は子犬の冷えに注意
冬は、先ほど書いたとおり20度を切らない室温を保ってください。ケージを窓際や玄関の近くに置くと、思った以上に冷えます。
皮膚の状態を毎日見る
フレンチブルドッグは、顔のしわや皮膚のトラブルが気になる犬種です。お手入れのときに、赤みやかゆがる様子がないか見てあげてください。異常があれば、自己判断せずに獣医師に相談してください。
ワンブーで実践している皮膚トラブルの対策は、こちらの記事に書いています。

子犬のうちにしつけておきたいこと
しつけは、安静の期間から始まっています。ここでは、子犬のうちにやっておいてほしいことを挙げます。
甘噛みは今のうちにやめさせる
「歯がかゆいだけ」「大人になれば治る」と言われますが、治りません。甘噛みしてくれているうちに、やめさせてください。
犬は、どんなときも人を噛んではいけません。噛むことは本能的な行動なので、頭も力も弱い子犬のうちにしか、基本的に直せません。
犬から勝手に人に触れさせない
フレンチブルドッグは人懐っこく、自分から人に寄ってくる子が多いです。飛びつく、体を押しつける。かわいいので許してしまいがちですが、ここは許さないでください。
犬の都合で人に触れられるようになると、都合が悪いときは呼んでも来なくなります。名前を呼ばれたときだけ、触れてもらえる。これを楽しいことだと覚えさせてください。
しわ・耳のお手入れに慣れさせる
顔のしわ拭き、耳掃除、爪切り、ブラッシング。フレンチブルドッグはお手入れが多い犬種なので、子犬のうちに慣れさせてください。
押さえつけて無理やりやるのは逆効果です。まず落ち着かせて、落ち着いたらお手入れをする。暴れたら注意して、おとなしくなったら再開します。繰り返すうちに、最後までおとなしくしていられるようになります。
耳掃除のやり方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

生後半年と1歳がしつけの節目
生後半年ごろに、あまり良くない時期がやってきます。反抗期のような時期です。そして生後1年前後で、犬の頭の中は大人になります。
このタイミングで、もう一度しつけを見直してください。そこまでできれば、あとは愛情をたっぷり注いであげられます。最初の1年間が勝負です。

浜松でフレンチブルドッグの子犬を迎えるなら
私たちペットのブリーダーワンブーは、2008年3月に浜松で創業しました。子犬をお渡しするときは、この記事に書いた過ごし方を実際にご説明しています。
段差のことや安静の期間のことなど、迎えたあとに迷うことがあれば、いつでもご相談ください。
ブリーダーの選び方や、子犬の価格の考え方はこちらで紹介しています。

まとめ
フレンチブルドッグの子犬は、迎えてから1〜2週間は「何もしない」でください。ワクチン1回なら2週間、2回なら1週間、ケージで完全に安静にします。
食事はアカナのパピーレシピをドライで1日3回、生後6か月を過ぎたら2回でも大丈夫です。お散歩デビューは、3回目のワクチンの1週間後から。室温は20度を切らないようにしてください。
そして、段差とソファの昇り降りは絶対にさせないこと。階段は抱っこで、運動で筋肉をつけて背骨を守ります。最初の1年間の過ごし方が、その子の一生の体と性格をつくります。
よくある質問
参考リンク – 環境省 動物の愛護と管理 – Prevalence of discospondylitis and association with congenital vertebral body malformations in English and French bulldogs(英語) – Prevalence of neurological disorders in French bulldog: a retrospective study of 343 cases(英語)


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